「姉さん、鈴木湊がどこにいるか、俺が処理しに行くよ。奴に二度と口を開く機会を与えないようにする」安藤玄の目に冷酷な光が走り、そう言うと彼は立ち上がって出ようとした。安藤凪は驚いて、急いで弟を引き止めた。
福井斗真の状況がまだはっきりしない中、弟まで何かあってはならない。「大丈夫よ。鈴木湊はカフェで会おうと言ってきたの。まずは彼の話を聞いてみるわ。軽率な行動は取らないで。鈴木湊はいつも周到に考えるタイプだから、彼がここに来たということは、万全の準備をしてきているはずよ」
「姉さん、それなら俺も一緒に行こうか」安藤玄はまだ心配そうだった。安藤凪は弟の髪を撫でながら、無理に笑顔を作った。
「大丈夫よ。あなたにお願いしたいことがあるの。家に帰って、あるものを取ってきて欲しいの。玄くん、これは私があなただけに任せられることなの。鈴木湊は良からぬ目的で来ているし、会社の一部の人間は斗真に何かあったと知れば、必ず動き出すわ。どんなことがあっても、私は福井グループを守らなければならないの」