第668章 嫌だ

鈴木湊が話し終えると、まぶたを軽く上げて林ウェリムを見下ろした。

この男は自分をカモにしているのか。

この価格は、市場の建材価格の倍だ。彼は目を細め、林ウェリムを疑わしげに見つめた。もしかしたらこの男は実は福井斗真の手下で、わざと自分を騙すために送り込まれたのではないか。

鈴木湊の推測はほぼ当たっていた。

ただし、林ウェリムを唆したのは福井斗真ではなく、安藤凪だったのだが。

林ウェリムは急に身震いした。彼は首をすくめ、愛想笑いを浮かべながら言った。

「鈴木社長、ご覧の通り、私たちにそんな度胸はありませんよ。実際、この建材は仕入れ価格が非常に高いんです。それに保証します、私たちの建材は横浜市全体で最高品質のものです」

鈴木湊は黙ったまま、林ウェリムを審査するように二度見した。彼が嘘をついているようには見えなかったので、表情を少し和らげた。「それにしても、建材の価格が倍になるはずがない。それに、私たちはそんなに良い建材は必要ない。基準を満たしていれば十分だ」

彼はビジネスマンだ。23億を費やして135号の土地を購入した後、当然ながら他の部分ではできるだけ節約したいと考えていた。

「私は...」林ウェリムは手を上げて額の冷や汗を拭い、しばらくもごもごと言葉を濁した。

「こうしましょう、鈴木社長。私はあなたと盛世グループに非常に期待しています。もし本気で購入されるなら、少し値引きできます。4分の1ほど安くします」

林ウェリムはそう言いながら歯を食いしばり、大きな決断をしたかのような様子だった。

4分の1値引き?鈴木湊の表情に変化はなかったが、すぐに断ることもしなかった。

「価格については再検討の余地がある。もし可能なら、私の部下をあなたの会社に行かせて、この建材の品質を確認させてほしい。もし本当にあなたが言うように優れているなら、検討する余地はある」

自分の部下が建材を見に行けば、値切りやすくなる。

林ウェリムはこれを聞いて少し躊躇した。彼は鈴木湊の前で大げさに褒めちぎったが、この建材の品質がどうなのか、彼自身がよく知っていた。建材の品質は確かに優れていた。