第671章 利益の譲渡

安藤凪はソファに座っている青ざめた二人に目を向け、直接尋ねた。相手の上層部は驚いて、「実は、ディエゴはプライベートが少し乱れているだけで、彼の能力は実際かなり良いんです。多くの協力関係を結んできました」と言った。

「能力が良いって、あなたが言っているのは社交能力のことですか?私は彼に何の能力も見ていません。むしろ、我が社の従業員を買収し、女性社員に朝食を届けて追いかけ回し、都合の悪いことには選択的に耳を傾けない能力は見事なものでした」

彼女が話している間、声を低くすることはなかったので、ディエゴもはっきりと聞こえていた。彼は屈辱的な表情で安藤凪を見つめていた。ディエゴはこれほど低い評価を受けたことがなかった。一方、GUグループの上層部は心の中で、この厄介者をさんざん罵っていた。

ディエゴがもう教訓を学んだと思っていたのに、まだ他人の女性社員に手を出していたとは。彼は深く息を吸い込み、安藤凪の前では頭を下げるしかなかった。

「彼がこのようなことをするとは思いもよりませんでした!これは確かに我々の不手際です。申し訳ありません、安藤社長。今すぐ二人を呼び戻し、新しい担当者を派遣します」

相手は誠実に謝罪したが、それは口先だけのことで、ディエゴをどう処分するかについては一言も触れなかった。相手が二人をかばおうとしていることを知り、安藤凪は心の中で冷笑したが、気にしなかった。相手が相応の代償を払うだけで十分だった。

「貴社は我が社の時間を無駄にし、これほどの問題を引き起こしておきながら、軽々しく人を変えるだけでこの問題が解決するとは思えません。ご存知でしょうが、スペインの貿易会社で我が社と協力したいと思っている会社はいくらでもあります」

「私はGUグループの将来性に期待していましたが、その潜在力はまだ見えないうちに、貴社の担当者が我々に大きな打撃を与えました。これにより、我が社の社員たちは今後の協力関係や直面する問題について疑問を抱いています」

安藤凪の言葉は理にかなっており、相手は反論のしようがなかった。結局、損をしたのは彼らの方だった。

また、福井グループという大きな船に乗りたいと思っているのはGUグループだけではなかった。Sグループは福井グループの人を怒らせた結果、協力関係が破綻したではないか。まさか彼らもSグループの二の舞になるつもりはなかった。