第044章 白川家は上野卓夫の遊びに全く足りない

「翔さん、行っちゃダメ」

白川勝一は白川翔の腕をつかみ、厳しい口調で言った。「まず帰って、それから話そう」

白川翔はためらいながらうなずいた。

そして背筋を伸ばした。

車が動き出すと、白川勝一は上野卓夫の要求については何も言わず、代わりに白川翔に告げた。「今夜にも国外へ出発しろ。私の許可なく戻ってくるな」

「おじいさん、どうして?」

白川翔は顔色を変えて白川勝一を見つめた。

白川勝一は表情を引き締めて言った。「白川家はもう終わりかもしれん。翔、お前はわしが最も誇りに思う孫だ。これからは白川家の再建をお前に託す」

「おじいさん、上野卓夫は本当に一人の女のために、私たちの白川家を潰すつもりなの?大叔父が帝都にいることを彼に伝えなかったの?」

「言ったさ、無駄だったがな」