第054章 誰がドレスを着て粽のように包まれるのか

上野卓夫の視線は、秋田結の細い腕を掴む三井忠誠の大きな手に落ちた。

細長い目を鋭く細め、周囲の空気が冷たくなった。「忠誠、手を離せ」

「今日はお前が愛さんのパートナーだろう。卓夫、人間は約束を守るものだ」

三井忠誠は手を離さなかった。

傍らで、三井愛は小さな声で言った。「卓夫、ここはホテルよ。人に見られたら良くないわ。秋田結に何か言いたいなら、まず中に入りましょう?」

遠くの駐車場から、次々と人々が歩いてきていた。

彼らは皆、葉都の有名人たちだった。

この光景がもし記者に撮られたら、明日は間違いなく一面を飾るだろう。

上野卓夫の目は秋田結の上に留まった。

しかし言葉は三井忠誠に向けられていた。「彼女にショールを持ってくるか、連れて帰るかどちらかにしろ」

「……」

三井忠誠は秋田結を見た。