秋田結が警察署に着いたとき、伊藤明史はすでに警察署の外で待っていた。
白いシャツに黒いズボン。
温和で上品な雰囲気を漂わせていた。
彼女が車から降りると、彼はすぐに二歩前に進み、優しい眼差しで彼女を見つめ、「結ちゃん」と声をかけた。
「監視カメラから何か手がかりは見つかりましたか?」
秋田結は唇を引き締め、淡々と尋ねた。
伊藤明史は首を振った。「あの通りの交差点の監視カメラは数日前から故障していて、道路の特殊性と、あの通りが取り壊し予定だということもあって、カメラはずっと修理されていないんだ。さっき近くの交差点のカメラを確認したけど、今のところ手がかりは見つかっていない」
秋田結が俯くのを見て、伊藤明史はさらに付け加えた。「結ちゃん、心配しないで。必ず君の潔白を証明するから」