しかし車から降りる目的を思い出し。
我慢した。
伊藤明史は秋田結が拒否しなかったのを見て、彼も秋田由貴子の別荘に入った。
リビングに入ると、秋田由貴子は秋田結に伊藤明史をもてなすよう言い、自分は食事を作りに台所へ行った。
「結ちゃん...」
「先に座っていて。」
秋田結はそう言い残すと、階段を上がった。
伊藤明史の視線は秋田結が階段を上がる後ろ姿を追い、口角が微かに一直線に引き締まった。
秋田結は階段を上がり、秋田由貴子の寝室のバスルームへ直行した。
頭上の棚を開けると、案の定、新しい歯ブラシが二本あった。
これは秋田由貴子が長年続けている習慣で、秋田結はよく知っていた。
彼女はお金持ちの奥様になっても、セール品を買う習慣を改めていなかった。
特に日用品は、数円の割引でも秋田由貴子は重視していた。