「……」
上野卓夫は返事をしなかった。
ただ顔を横に向けて、テーブルの上の携帯電話を見た。
優雅に口の中の食べ物を飲み込んでから、ようやく口を開いた。「君は葉都に長く滞在するつもりなのか?」
「少なくとも2、3ヶ月はね」
しばらくして。
佐藤和俊は尋ねた。「何かあるのか?」
「別に」
「……」
二人は一緒に駐車場まで歩いた。
上野卓夫は車のドアを開ける佐藤和俊を見て言った。「お見合いしてみないか?」
「……」
佐藤和俊は振り返って彼を一瞥し、車内に座った。
上野卓夫は相手から返事をもらえなかったが、気にせずドアを開けて車に乗り込んだ。
午後3時。
上野卓夫は書類にサインを終え、少し休憩してから顧客と会う予定だった。
携帯の着信音が鳴った。
佐藤和俊からだった。
「卓夫、忙しい?」