第149章 彼は情がなくても、私たちは義を欠くことはできない。

薄田毅の唇の端がわずかに引き締まった。

上野卓夫の声は低く穏やかに薄い唇から漏れ出た。「おばさま、以前お約束した愛さんのお世話をするという言葉は、もう果たせません。あなたの恩は永遠に心に刻んでおきます」

「……」

三井忠誠は怒りで額の血管が浮き出ていた。

彼は目を見開いて上野卓夫を睨みつけていた。

本当に言ってのけるとは。

しかも、まるで正当な理由があるかのように。

上野卓夫の言葉は口から出るとすぐに風に散った。

「忠誠は私が愛さんと結婚せず、自分の好きな女性ができたことで三井家との関係を絶とうとしていると思っている。私は彼の考えに賛同しないが、もう自分の感情に逆らうことはしない。今あなたにお約束できるのは、あなたの親族に敵対することは決してないということだけです」