千数百元、それでも一食分の食事にはなるだろう。
上野卓夫は椅子の背もたれに慵懶と寄りかかり、長い指でお小遣いの上にある明細を開いた。
収入の詳細を見ながら、彼の口元にはセクシーな弧を描く笑みが浮かび、深い池のような瞳には、温かみのある光が広がっていた。
お金が少なくても、少ないなりの楽しみがある。
昼時。
クラブの個室で。
佐藤和俊が到着した時、上野卓夫はテーブルに座って水を飲んでいた。
一瞬見ると、まるで人間の美味を味わっているかのようだった。
ただの普通の白湯を飲んでいるだけなのに、彼は優雅で気品高く飲んでいた。
目を上げ、迷彩服を着た佐藤和俊をさらりと見やり、コップをテーブルに置いてから、薄い唇を微かに上げて口を開いた。「もう料理を注文したよ。水も注いであるから」