第188章 部外者の接近を許さず……

上野お婆さんは頭を打ってしまった。

医者の言う状況はやや深刻だった。

しかし上野卓夫がいないため、秋田結はこの書類にサインしなければならなかった。

初めて人の手術のためにサインをする秋田結は、ペンを握る手が軽く震えていた。

サインを終えると、その手はまるで力を失ったかのようだった。

振り向いて、秋田結はそばにいる雲井洋治と草場盟子に言った。「洋治くん、盟子ちゃん、先に帰っていいよ。私はここでお婆さんの手術を待つから」

「私もここで付き添うわ」

草場盟子は彼女をここに一人残したくなかった。

上野お婆さんが彼女にどれだけ優しくしてくれたか知っていて、彼女の心の中での地位は、おそらく上野卓夫よりも重要だった。

雲井洋治は手術室のドアから視線を戻し、さらりと言った。「帰っても特にすることないし、ここにいれば何か手伝えるかもしれないしね」