彼女をさっと見る。
上野卓夫は再び頭を下げ、茶碗の中のお粥を飲み続けた。
秋田結はまばたきをした。
彼のその一瞥がどういう意味なのか分からなかった。
もしかして、彼女の伝言も間違っていたのだろうか?
「朝食を食べなさい」
しばらくして、彼は再び顔を上げて彼女に言った。
秋田結は口をとがらせ、頭を下げて朝食を食べた。
——
朝食を終えると、上野卓夫は秋田結を仕事場まで送った。
彼が運転する間、彼女はイヤホンをつけ、アプリを開いて昨日聞けなかった録音を聞いた。
ついでに、三井愛が自殺したことで、秋田由貴子が雲都に彼女を見に行ったかどうかを知りたかった。
今朝の最新情報を聞いても、秋田由貴子が三井愛の自殺のニュースを知ったという話は聞こえず、車が青雲音の外に停まった時。
秋田由貴子の携帯の着信音が鳴った。