第292章 パパはママと寝てはいけない

上野卓夫の端正な眉間に、一瞬戸惑いの色が浮かんだ。

顔を上げ、秋田結を見つめる。

視線が交わり、秋田結は目を微かに揺らしながら避けた。

話題を変えようとしたが、あいにく知心の幼い声が響いた。「ママ、そうでしょ?私のパパは世界一かっこいいパパでしょ?」

知心は首を傾げ、キラキラした目で秋田結を見つめていた。

秋田結はまばたきをして、適当に答えた。「そうよ、知心のパパは世界一かっこいいパパよ」

その言葉を聞いて、上野卓夫の口元に嬉しそうな笑みが浮かんだ。

彼は目を伏せ、優しい笑顔で娘を見つめた。「知心、パパが抱っこしてもいい?」

「うん、パパ、知心を抱っこして」

知心の小さな手が彼の肩に這い上がった。

上野卓夫は笑いながら彼女を抱き上げ、立ち上がるとすぐに左頬にペチャッと知心からキスをされた。