秋田結の頭の中で「ドン」という音がした。
心臓が一瞬止まった。
前回の偶然のキスとは違う。
今、
彼女の両手は男に頭上で掴まれ、しなやかな体は壁に押し付けられ、逃げ場がなかった。
上野卓夫は深く、大胆にキスをし、彼女の穏やかな心の湖に激しい嵐を巻き起こした。
しかも、彼女は体力で彼に劣り、押し返すことができなかった。
男が片手を彼女のナイトドレスの上から探るように入れた時、彼女は電気が走ったかのように全身が震えた。
頭の中は混乱していた。
三年ぶりの感覚的な刺激、見知らぬ中に包まれた懐かしい味わい、それは暴風雨のように彼女を一瞬で飲み込み、抵抗する力を奪った。
次々と崩れていくだけでなく。
人を誘う犯罪的な嬌声が、抑えきれずに赤い唇からこぼれ出た。
「結ちゃん」
急激に上昇した空気の温度は、男の息遣いで散らされた。