「……」
秋田結は2秒間呆然としてから、急に我に返って焦りながら尋ねた。「彼はどこ?怪我は重いの?」
「病室にいるよ。怪我はちょっと重いね。僕が見つけた時には、すでに誰かが彼を助けていた」
上野卓夫は事実をそのまま伝えた。
彼は金田康より先に秋田鉄平を見つけていた。
厳密に言えば、彼が到着した時、ちょうど誰かが秋田鉄平に危害を加えようとしていた。
もう1分遅れていたら、結果は想像したくないものだった。
しかし、これらのことを上野卓夫は秋田結に伝えたくなかった。彼女をこれ以上心配させたくなかったからだ。
秋田結はそれでもほっと息をついた。
先ほど上野卓夫の口調を聞いて、彼女の心には不吉な予感が過ぎっていた。
秋田鉄平に命の危険がなく、ただ怪我が重いだけなら、それはどうでもいい。