ウェイターは質問に戸惑った。
思わず小川雪由利の方を見た。
小川雪由利はにこにこしながら言った。「秋田結姉さん、私はお肉が食べたくないの。このスープの方がいいわ。これはあなたにあげる」
彼女はそう言いながら、肉がたくさん入ったスープを取り、秋田結に渡した。
ウェイターは彼女の行動を見て、少し眉をひそめた。
何も言わなかった。
小川雪由利は肉の多い方を秋田結の前に置き、肉の少ない方を自分の前に置いた。
ウェイターが個室を出て行ったことにも気づかなかった。
ただ自分のスープを見つめながら、不思議に思い返していた。さっきキッチンにいた時、自分のこの椀には肉が一切れしかなかったはず。
どうして今、三切れになっているのだろう。
もしかして、さっきはよく見ていなかったのかな。