携帯が数回鳴り、三井忠誠の声が聞こえた。「もしもし、結ちゃん」
「今夜は残業するの?」
秋田結は片手でマウスを握り、もう片方の手で携帯を持ちながら、淡々と尋ねた。
「うん、残業する」
「三井康隆は今夜接待があるの?」
「うん」
「じゃあ、別荘の人たちを1時間ほど外出させられない?」
「結ちゃん、だめだよ」
三井忠誠は考えるまでもなく制止した。
心配そうに言った。「今夜時間を作って一度帰るから、君が危険を冒す必要はない。この前の二日間はずっとチャンスを見つけられなかった」
「彼を引き止めておくように手配するわ、夜10時までは」
電話の向こうで一瞬の沈黙があった。「わかった」
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仕事が終わった後、秋田結はすぐに家に帰らなかった。
代わりに病院に行って上野お婆さんを見舞った。