元々深夜で、光が薄暗かった。
直接ビデオからスクリーンショットを撮ると、確かに、より見づらくなる。
「このビデオを私に送ってくれる?」
秋田結はそう言って、上野卓夫を見上げた。
彼がちょうど横顔を向けてきた。
彼女の眉骨が、彼の唇に触れた。
温かい感触に彼女の息が止まった。
一瞬で甘い空気が生まれた。
秋田結は思わず唇を噛み、澄んだ瞳に彼のハンサムな顔が映っていた。
上野卓夫の喉仏がゴクリと動いた。
こんなに近い距離で、彼のセクシーな薄い唇がまだ彼女の肌に触れていた。
呼吸するたびに、彼女特有の香りがした。
薄い唇が彼女の眉骨から離れ、彼は掠れた声で「わかった」と答えた。
彼女にキスしたいという衝動を抑えながら。
目を伏せ、骨ばった長い指でスマホを操作すると、しばらくして秋田結のスマホに通知音が鳴った。