第437章 この後上野卓夫に会う

葉都、郊外の別荘。

伊藤明史はベッドの前に座り、眠っている「秋田結」を見つめていた。

彼の手には、まだ秋田結の携帯電話が握られていた。

さっき上野卓夫から電話がかかってきたが、彼はずっと見ているだけで、出なかった。

上野卓夫が今頃焦りまくっていることを想像し、伊藤明史の目に再び笑みが浮かんだ。

そしてまた手を伸ばして「秋田結」の顔に触れた。

彼は立ち上がり、寝室を出た。

階下に降りて、金田康に電話をかけた。

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草場盟子と雲井洋治は午後に秋田結が行ったという歩行者天国に急いだ。

車から降りると、佐藤和俊が自ら部下を連れて来ているのが見えた。

彼女と雲井洋治は急いで近づき、佐藤和俊は彼らを見ると、部下に二言三言指示した後。

振り向いて、彼らに挨拶した。

あまり親しくはなかったが、お互いに知り合いではあった。