秋田結の足取りが止まった。
振り返ると、彼女は淡々とした表情で三井忠誠を見た。
見たところ、三井忠誠は三井美咲の死について、とても悲しんでいるようだった。
彼女は自分が生まれつき冷淡なのかもしれないと思った。三井忠誠が三井美咲の死について話すのを聞いても、親族を失った悲しみのようなものは感じなかった。
彼女がc国に連れて行かれたのは、三井美咲と伊藤明史が仕組んだことだった。
「結ちゃん、美咲ちゃんが川島おばさんを脅して君を騙し出し、c国に誘拐されるようにしたことは知っている。美咲の死を伝えたのは、君に悲しんでほしいからじゃない。ただ、伊藤明史が犯人かもしれないということを伝えたかっただけだ。」
「……」
「結ちゃん、伊藤明史に会いに行くなら、くれぐれも気をつけて。」