翌日の朝。
目覚まし時計が何度も鳴り響いたが、布団に包まっている人は目を開けようとしなかった。
片桐陽向は昨夜、体の火照りを消すために冷水シャワーを三回も浴びたので、今はとても眠かった。
突然、太ももを蹴られ、女性のぶつぶつ言う声が聞こえた。「目覚まし、うるさいわ」
片桐陽向は女性の声を聞いて、静かに目を開けた。
彼が顔を向けると、最初に目に入ったのは女性のぼさぼさの髪で、彼女はほとんど頭全体を布団に埋めていた。
片桐陽向は深く息を吸い込んだ。
昨夜彼女に触れられて燃え上がった火がまた燃え始め、彼は歯を食いしばって手を伸ばし服を探した。
携帯電話は森川萤子のもので、昨夜彼女が自分で服を脱いだ時、携帯と服が一緒に床に落ちていた。
片桐陽向が携帯を手に取った時、アラームはすでに止まっていたが、アラームを完全に切るには指紋認証が必要だった。