097 萤子は彼の人だと認めた

片桐陽向がその言葉を口にした瞬間、神崎おじいさんの前で森川萤子が自分のものだと認めたことになった。

彼以外は、誰も彼女に手を出せない!

森川萤子は、もし片桐陽向が信用協同組合のプロジェクトを獲得できなかったら、二人がそれぞれ箱を抱えてツインタワーを出ていく姿を想像して、思わず「プッ」と笑ってしまった。

「何を笑っているんだ?」

森川萤子は首を振った。「何でもありません。片桐社長、自信はありますか?」

片桐陽向は眉を上げた。「俺に自信がないのに、俺の勝ちに賭けるとは?」

「私はあなたの秘書ですから、もちろんあなたを支持します」森川萤子は無邪気に笑った。

あの状況では、森川萤子に選択肢はなかった。彼女が片桐陽向を支持しなければ、他の社員たちは何を思うだろうか?

「単に私の秘書だからか?」片桐陽向は彼女に尋ねた。