176 片桐陽向の嫉妬心

神崎家の人は好色で、神崎会長から甥や姪の世代まで、みな色事に目がない。

神崎社長は四十代半ばで、頭の中は欲望でいっぱいで、何でも口にする。

噂によると、彼は一年に何人もの愛人を取り替え、男女問わず、好みもコロコロ変わるという。

今、彼は色っぽい目つきで森川萤子の露出した細い脚を見つめながら褒めそやした。「甥っ子よ、君は秘書を選ぶ目がいいな。君の叔父さんが紹介した秘書を気に入らなかったのも納得だ。彼女たちは森川秘書と比べると、はるかに劣るよ」

片桐陽向は顎を引き締め、不快感を露わにして言った。「神崎社長も負けていませんね」

神崎社長は彼の皮肉めいた口調を察し、大笑いした。「陽向、君はまだ若いから、秘書がどれほど面白いか分からないんだよ」

片桐陽向の表情は見る見るうちに暗くなった。「神崎社長がどう秘書を定義しているのか知りませんが、私にとって彼女たちは尊重されるべき存在です」