久保海人は全身が痛かった。彼を袋に入れた人物は間違いなく武術の達人だった。
拳が肉に当たる感触がはっきりとあったにもかかわらず、内臓や骨には傷がなく、ただ全身の筋肉が激しく痛むだけだった。
今、片桐美咲を見て、彼は機嫌が悪くなった。「どう思うって?あなたが明日ウェディングフォトが撮れないと言ったから、撮らなければいいし、結婚もしなくていい」
片桐美咲は一瞬表情が凍りつき、驚いて久保海人を見つめた。「海人さん、何を言ってるの?」
久保海人は言葉を重ねた。彼も裕福な環境で育った坊ちゃんだから、当然気性が荒い。
「言ったでしょう、ウェディングフォトが撮れないなら、結婚もしない。こんな姿で外に出たら、あなたの恥にもなる」
片桐美咲の目が赤くなり、次の瞬間には涙がこぼれそうだった。彼女は悲しみに打ちひしがれて久保海人を睨みつけた。