第61章 甘い雰囲気 ブックマークをお願いします(1)

トーテムの洗面所の入り口の廊下:

西村絵里は黒田真一の鋭い言葉を聞いて顔色を変え、震える声で言った。「国豪は黒田グループの提携先なのよ……」

「知っている」

西村絵里:「……」

知っていてもこんなに強気?

西村絵里は先ほどまで色欲に目がくらんでいた村上社長が、今や誰かに非常に惨めな姿で引きずられるように去っていくのを見つめた。彼女は目尻の涙がまだ乾ききらないまま、鼻をすすり、小さな声で注意した。

「私が国豪の契約を取ったら、1万円のボーナスがもらえるのよ……あなたがこんなことをしたら、国豪との契約もなくなって、私のボーナスはどうなるの?このデザイン案のために、私は一週間も頑張ったのに」

そのボーナスを貯金して、将来の不時の出費に備えるつもりだったのに。

黒田真一:「……」