リビングの雰囲気は多少重苦しいものがあった。
正直に言えば、西村绘里は幼い頃から藤原お爺様を尊敬していた。
建国の功労者として、普段から骨の髄まで染み込んだ誇りが放つ強大な威厳と存在感。
前回の黒田グループの年次総会で、藤原お爺様が自分に対して不満を持っていることは聞き取れたが、绘里も孫を守りたいという老人の気持ちを理解していた。
「绘里ちゃん、俺のお爺さんはお前のお爺さんでもあるだろ?小さい頃はずっとお爺ちゃんって呼んでたじゃないか」
西村绘里:「……」
それは以前のことで、今はお爺様が自分を見ると、孫を惑わしていると思って頭を痛めているだろう。
「知らないぞ、お前が行かないなら俺も行かない。お爺さんの80歳の誕生日なんて、好きにすればいい。孫が一人いなくたって大丈夫さ、お爺さんには孫になりたがる人が何千何万といるんだから」
藤原海翔はそう言いながらも、こっそり西村绘里の表情の変化を窺っていた。
西村绘里:「……」
藤原三郎は藤原お爺様が最も可愛がる孫で、誰が欠席しても三郎だけは絶対に欠席できない。
西村绘里は眉間を軽く揉みながら、静かに言った。「考えてみるわ」
藤原お爺様は仙台市の大物で、彼の誕生日には黒田真一も当然出席するはずだ。
自分が行って黒田真一に見られたら…説明がつかなくなる。
そう考えると、西村绘里はひどく頭が痛くなった。
もし黒田真一が行かないなら、この件はまだ望みがある。
「さすが俺の绘里ちゃんだ、それでこそだ」
西村绘里の性格を知っている藤原海翔は、彼女がきっと承諾すると分かって満足した。
……
西村绘里は藤原海翔を見送った後、自分の小さな娘を寝かしつけた。
甘奈の甘い寝顔を見て、西村绘里は口元を緩め、身をかがめて小さな子のふっくらした頬にキスをしてから、名残惜しそうに電気を消して部屋を出た。
西村绘里が甘奈の部屋を出たばかりのとき、ソファの方から自分の携帯の着信音が聞こえた。
見知らぬ番号だった。西村绘里は美しい瞳を見開いた。
「もしもし、宅配便ですか?」
この時代、自分に電話をかけてくる見知らぬ番号といえば、宅配便以外に誰が考えられるだろうか。
「俺だ」
西村绘里:「……」
西村绘里は電話の向こうから聞こえる低く、怒りを含みながらも磁性のある声に、心臓が半拍飛んだ。