第98章 小ロリと大叔 その1

西村絵里は目を赤くしてカフェを出た。なんだか少しドラマチックな展開だと思った。

もし香坂悠生が、自分が噂の黒田奥さんだと知ったら、きっともっと打ちのめされるだろう。

そのとき、再会すれば、叔父と義理の姉の関係になってしまう。

鼻をすすり、西村絵里は風に目尻の涙を乾かされるままにして、そのままバス停へと向かった。

……

リビングにて:

藤原海翔は甘奈を連れて家に帰ると、自分から台所に入って片付け始めた。

家庭的な男は、自分から実践する。

うん、西村絵里はデザイン画を描くとき命がけだから、普段は彼女があまりに疲れないように気遣っている。

甘奈はおしゃれな制服を着て、漫画のようなスリッパを履き、真剣に皿を洗う藤原海翔の姿を見て、口をとがらせて言った:「藤原おじさん、手伝うよ。」