西村絵里のドレスが決まった後、藤原海翔は更衣室に入り、自分の礼服に着替えた。
藤原お爺様の干支が虎だったので、西村絵里は事前に虎に関する縁起物を描き、自ら陶磁器店に行って手作りした。
値段はそれほど高くなかったが、西村絵里は心を込めて作った。
藤原お爺様は尊敬に値する人物だった。時には考え方が独断的で強引なこともあったが。
しかし、西村絵里は子供の頃に藤原海翔と一緒に遊んでいた時、藤原お爺様が自分に対して優しく、いつも「小娘」と呼んでくれていたことをずっと覚えていた。
……
西村絵里の白い王女ドレスに合わせて、藤原海翔も特別に白い礼服を選び、全体的に優雅で魅力的な雰囲気を醸し出していた。
礼服に着替えて出てきた藤原海翔は、ぼんやりしている西村絵里を見て、自ら口を開いた。「絵里ちゃん、俺かっこいいだろ?あの何とかboyよりかっこいいだろ?」
藤原海翔は全身から反骨精神と不遜な雰囲気を漂わせていて、西村絵里は口元を少し上げた。
「うん。」
「そういえば、来年西村おじさんが刑務所から出てくるけど、ちょうど50歳になるから、彼にも誕生祝いをしてあげられるね。」
西村絵里は美しい瞳を少し揺らし、その後首を振った。
「その時は家族で集まるだけでいいわ。お父さんはまだ甘奈のことを知らないし、どう伝えようか考えていないの。すべては彼が出所してから話すわ。」
結局のところ……
当時、西村安国が投獄され、母親が行方不明になり、自分は貞操を失い、別れ、妊娠。
これほど多くの出来事が絡み合っていて、西村絵里は西村安国に多重のショックを与えたくなかった。
西村絵里の美しい瞳の中の暗さを見て、藤原海翔は強引に言った。「絵里ちゃん、俺の前では暗い顔をするな。」
西村絵里は藤原海翔の皇太子のような態度を聞いて、口角を少し上げ、静かに言った。
「わかったわ。早く藤原家に行きましょう。藤原三郎、約束したわよ。お爺様にプレゼントを渡したら、先に帰るから。甘奈が家で待っているの……もう「俺が行かせない」なんて駄々をこねないでね。あなたはお爺様の一番大切な孫なんだから。」
西村絵里がお爺様の誕生祝いに参加するのは、一つには子供の頃の恩義からであり、もう一つは藤原海翔のしつこい説得に負けたからだった。どうしようもなかった。