第116章 死ぬまで止まらない欲望(1)

以前なら、西村绘里は自分が黒田真一の興味を引いただけだと思っていた。

でも……

今、男の黒い瞳には明らかに確固たる所有欲が宿っていた。

しかも、その欲望は、死ぬまで諦めないほどのものだった。

……

西村绘里と黒田真一は見つめ合い、空気は一瞬にして凍りついたように気まずくなった。

二人が睨み合っている時、突然、ドアの外から声が聞こえた。

「绘里ちゃん?」

ドアの外から藤原海翔の呼ぶ声を聞いて、西村绘里は心臓が跳ね上がり、反射的に男の胸を押した。

しかし彼女が動くと同時に、下の鍵盤が再び不協和音を奏でた。

ドン!

西村绘里は再び顔色を変えた。

案の定、藤原海翔の足音がピアノルームに近づいてくるのが聞こえた。

「绘里ちゃん、ピアノルームにいるの?」

西村绘里:「……」

西村绘里は黒田真一の穏やかな黒い瞳を見つめた。自分が震えて慌てふためいているのに比べ、男は落ち着き払っていた。

黒田真一は薄い唇を曲げ、優雅に大きな手で西村绘里の背中のジッパーを上げ続けた。

「話すか、それとも彼に鍵を開けさせたいのか?」

男の磁性のある声を聞きながら、西村绘里は藤原海翔がドアを開けようとしているが、黒田真一が内側から鍵をかけているため開かない音をはっきりと聞くことができた。

「藤原三郎……ここにいるわ」

西村绘里は深呼吸して、男の胸を押した。二人が鍵盤の上でもつれ合い、メロディーが耳元に漂っていた。

西村绘里の額には汗が浮かんでいた。

どうしよう……

今ドアを開けたら、自分と黒田真一が藤原海翔に見つかってしまう。

「藤原三郎……ドレスが少し乱れたから、整えているの。先に大広間に行って、私が整えたら後で会いに行くわ」

「おじいさまが贈り物の中からいくつか選んでオークションにかけて、その収益を寄付することになったんだ。绘里ちゃん、君が贈った寅虎もその中に含まれていて、もうすぐオークションが始まる。贈り主として出席する必要があるよ」

「わかったわ……んっ……」

西村绘里がもう少し何か言おうとしたとき、唇に痛みを感じ、黒田真一の端正な顔が目の前に迫っていた。

細い腰が男に抱き寄せられ、キスはどんどん深くなっていった。

同時に、黒田真一の長く白い指が西村绘里の背後の鍵盤に置かれ、優雅に魅惑的な曲を奏でていた。