第174章 黒田奥様は妊娠した2更(8)

……

黒田真一と黒田奥さんが到着したと知り、藤原お爺様はわざわざ自ら出迎えに出た。

ご存知の通り、藤原家も仙台市の権力者であり、藤原お爺様はさらに建国の功労者だった。普段は、他の人々が藤原お爺様を訪ねて来るものだった。

お爺様が自ら身分を下げて出迎えることは滅多になかった。

しかし黒田真一はその例外の一人だった。

「黒田さん、黒田奥さん、ようこそ……」

黒田真一は藤原お爺様の元気な様子を見て、薄い唇を少し上げ、大きな手でお爺様の手を握った。

「お爺様、お気遣いなく」

西村绘里:「……」

前回、自分がまだ黒田奥さんとしてマスクをつけていた時、お爺様が自分に対して嫌悪感を抱いていることが聞き取れた。

結局のところ、彼らは自分が……藤原海翔に面目を立てなかったと思っていた。

そして藤原海翔の心はずっと自分に向けられていた……

西村绘里の喉は何故か乾いた感じがして、目の前の藤原お爺様を見つめ、小声で言った:「お爺様……お誕生日おめでとうございます。申し訳ありませんが、日曜日に直接お祝いを言おうと思っていましたが、用事があって先に失礼しました」

西村绘里は口元に微笑みを浮かべ、少し落ち着かない様子だった。

藤原お爺様に対して、多かれ少なかれ年長者に対するような圧迫感があった。

彼女はかなり緊張して不安だった。

藤原お爺様は目の前の西村绘里を見た。

この数年で会わなかったが、西村绘里は美しくなり、生き生きとしていた。

全身に纏った高級な礼服……手首のブレスレット、首のネックレス、どれも高価なものばかりだった。

この姿の西村绘里は……今や枝に飛んで鳳凰になったようなもので、今や大変有名な黒田奥さんだった。

「黒田奥さん、お気遣いなく。あなたが老人の私に贈った寅虎は、黒田さんによって10億円もの高値で慈善のために落札されましたよ。この老人、あなたにしっかりとお礼を言わなければなりませんね」

西村绘里:「……」

藤原お爺様の言葉を聞いて、西村绘里は口角を少し引きつらせた。

今のこの状況では、お爺様は自分に対して丁重だが。

しかし以前のような感じではなくなっていた……

以前は、お爺様が一睨みしたり、怒鳴ったりすると、自分と藤原海翔は怖くてたまらなかった。

お爺様がまた年寄りの威厳を振りかざして怒り出すと思っていた。