西村絵里は小さなロリータが来たのを見て元気になり、口角を上げた。
「ありがとう、子供たち……あなたたちこそが一番可愛い人たちよ」
そう言うと、西村絵里は体を回して隣の吉田先生を見て、静かに言った。「吉田先生、もう下校時間ですから、甘奈を連れて帰りますが、よろしいですか?」
「甘奈のママ、もちろんいいですよ」
「うーん……もう一つお願いがあるんですが……今後、甘奈のパパが何か幼稚園に送ってきたら、すぐに私に教えていただけますか?」
あまりにも高価なものだったら、簡単に受け取るわけにはいかないのだ。
この40枚のサイン入り写真は、決して大したものではないが、五桁の価値がある。これは普通の家庭の一年分の収入だ。
「はい、問題ありません」
吉田先生はだいたい理解した。この甘奈のパパはおそらく死んでいないのだろう、多分甘奈のママと離婚したのだろう。
ああ……こんなに美しい妻と離婚して、こんなに可愛い娘と……この甘奈のパパは本当にひどい、きっと目が悪いのだろう。
……
「甘奈、お友達と先生にさようならを言いなさい」
「うん……みんなさようなら、先生さようなら……また明日ね、みんなのこと考えてるよ、へへ、私たちのボーイのことを応援するのを忘れないでね、彼らはいつも頑張ってるんだから」
西村絵里:「……」
帰る時でさえ自分のアイドルの宣伝を忘れない、アイドルを応援する甘奈のこの姿勢は、本当に誰にも負けない。
西村絵里は思わず微笑み、子供たちと吉田先生にさようならを言って、やっと甘奈の小さな手を引いて校門へと向かった。
甘奈の幼稚園は仙台市で最高のものではないが、環境は比較的良い方だ。
当初この幼稚園を選んだ主な理由は、古い幼稚園だったからで、比較的学風が素朴で、周りに高層ビルがなく、そんなに騒がしくないからだった。
学校の廊下を歩いていると、甘奈は注意深く隣を歩く西村絵里をちらりと見て、小さな声で言った。
「ママ、怒ってる?」
「ママ、悪かったよ……」
「うん、どこが悪かったの?」
西村絵里は足を止め、甘奈の前にしゃがみ込み、小さな子の澄んだ瞳と同じ高さで見つめた。
小さなロリータは唇を噛み、小さな声でつぶやいた。「私……自慢しちゃった」