西村絵里の顔色が微かに変わった。確かに今さっき桂花ケーキを食べたばかりだった。
ここの桂花ケーキはとても風情があり、しかも完全に手作りで、彼女はずっとそれが大好きだった。
藤原海翔は彼女の好みを知っていたので、彼が注文したのだ。
思いもよらなかった……
まさか黒田真一のキスでそれがバレてしまうとは。
「西村絵里、どこで桂花ケーキを食べたのか知らないけど、さっきあなたは桂花ケーキを注文していなかったよね。」
西村絵里:「……」
男性の鋭い黒い瞳が自分をしっかりと捉えているのを感じ、西村絵里は口元に微かな笑みを浮かべた。
「黒田社長、あなたは……」
「西村絵里、言いなさい、さっきいったいどこに行ってたの?」
西村絵里:「……」
黒田真一の鋭い黒い瞳は腕の中の西村絵里をじっと見つめ続け、薄い唇を引き締め、少しも緩むことはなかった。西村絵里はその様子を見て、内心で「まずい」と思った。