第300章 お前は俺、黒田真一の妻だ2更(3)

「うん、村上秘書、あなたは話が多すぎるよ」

黒田真一は淡々と返事をし、黒い瞳に一筋の艶やかな光が走った。

やはり西村绘里と一緒にいたいという切実な思いが…

出張…

以前なら自分は受け入れられたのに。

しかし、いつからか…

自分はもう望まなくなった。

むしろ毎日、西村绘里とこの臨海別荘で…そして西村绘里が作った朝食や昼食を食べながら…

それに…甘奈と同じくらい可愛い子どもをもう一人作りたい。

それこそが自分の望む日々だった。

……

西村绘里は村上秘書の車で直接黒田グループのビル前まで送られた…

実は、西村绘里は言いたかった。黒田グループと空港は完全に方向が違うのに、村上秘書がこんな風に車を走らせるのは、明らかに遠回りしているじゃないかと。

本来なら自分で会社に行きたかったが、黒田真一の引き締まった唇を見て、西村绘里はあきらめるしかなかった。

西村绘里が窓の外の景色を眺めていると、携帯にメッセージが届いた。藤原海翔からだった。

甘奈ちゃんは無事に学校に到着しました。

西村绘里はそれを見て口元を緩めた…

今や、藤原三郎は本当に子育ての達人だ。

甘奈がその最も明らかな例で、藤原海翔に本当によく面倒を見てもらっている。

ありがとう。

西村绘里が素早く「ありがとう」と返信すると、村上秘書はすでに車を黒田グループのビル前に停めていた。

西村绘里は唇を噛み、本革の後部座席に座り、フランスでの商談の準備資料をゆっくりと読んでいる男性を見て、静かに言った。

「黒田社長、お手数をおかけしました。時間も遅いので、先に上がって出勤します」

「ちょっと待って」

黒田真一は淡々と応え、手に持っていた書類を脇に置き、運転席の村上秘書を見て、薄い唇を引き締めた。

「村上秘書、少し席を外してくれないか」

村上秘書:「……」

自分が邪魔者扱いされた。

村上秘書は黒田真一の言葉を聞いて一瞬戸惑ったが、すぐに察して急いで言った。「はい、黒田社長。お二人の邪魔はしません」

「うん」

西村绘里:「……」

西村绘里が村上秘書の言葉の意味に気づいた時には、すでに遅かった。小さな手でドアを開けようとした瞬間、黒田真一にもっと素早く手を掴まれ、彼の腕の中に引き寄せられた。

「绘里、実は、行きたくないんだ」

西村绘里:「……」