第295章 男の狩猟性1更(8)

西村絵里は多かれ少なかれ、心の中で少し驚いていた。

まだ良かった……

自分はさっき浴室で既に着替えを済ませていた。

「黒田社長、あなたのお部屋は隣です。」

「今夜は、黒田奥さんと一緒に寝る。」

西村絵里：「……」

寝るって何よ、くそっ。

黒田真一に会うたびに、西村絵里は本当に罵りたくなった。

黒田真一は小さな手を握りしめている西村絵里をじっと見つめ、口角の笑みが思わず上がり、黒い瞳を細め、非常に意味深げに口を開いた。

「どうした、黒田奥さんは嫌なのか？」

「黒田真一……」

「こっちに来て、髪を乾かしてあげる。」

西村絵里は黒田真一が手に持っていた本を脇の棚に置き、本当にドライヤーを手に取るのを見て、多かれ少なかれ躊躇した。

黒田真一が本当に何もしないと確信して初めて、西村絵里はほっと一息つき、躊躇いながら黒田真一の方へ歩み寄った。

「動かないで、髪が巻き込まれないように。」

「はい。」

西村絵里の髪は後から処理されたものではなく、純粋に自然に伸びた長髪で、腰まで届き、毛先は少し波打っていて、温風に吹かれると……とても柔らかかった。

そして、シャンプーの香りを漂わせていた。

西村絵里の身体には他の刺激的な香水の匂いはなかった……

あるのはすべてシャンプーの香りだった。

黒田真一は目を細めた……このような自然な体の香りの女性は、いつも男を魅了してしまう。

西村絵里は鏡を通して自分の後ろにいる男性が自分の髪に忙しく手を動かしているのを見ていた。特に男性の長い指がこのように自分の髪を通り抜けるとき、西村絵里の整った小さな顔に不自然な表情が一瞬過った。

なんとなく……このような黒田真一は……とても家庭的な感じがした。

しかし……

男性がこのようであればあるほど、西村絵里は狼から身を守るために……まだ少し警戒して黒田真一を見ていた。

黒田真一は西村絵里のこのような用心深い様子を見て、薄い唇を引き締めた。

「そんな目で見ないで、男は生まれつき狩猟本能を持っている。そんな目で私を見ると、思わず口を開けて、あなたを飲み込みたくなる。」

西村絵里：「……」

西村絵里の口角の笑みが凍りつき、素早く頭を下げた。

黒田真一は愛情を込めて大きな手を上げて女性の髪を撫で、唇を引き締めて言った。

「いい子だ。」

ふざけんな。