西村絵里:「……」
以前は、自分が何を言っても、小さなロリータは百パーセント自分に同意していた。
今のような様子ではなかった。
西村絵里は混乱した。
悔しかった、黒田真一は一体自分の娘にどんな惑わしの薬を飲ませたのだろう。
小さなロリータを今のような状態にしてしまって?
そう考えると、西村絵里は悔しくなった。
黒田真一は満足げに口角を上げ、無言で表情を崩した西村絵里を一瞥し、口角の笑みをかすかに上げた。空いた大きな手で甘奈の髪を撫で、溺愛するように口を開いた。
「甘奈ちゃんはとても良い子だね、言うことが正しい」
「ありがとう、パパ……」
西村絵里は連続して失敗した後、父娘二人を無視することに決めた。
しかし父娘二人はすぐに打ち解けた。黒田真一は普段、会議中でも仕事中でも、典型的な寡黙な人物で、価値のない無駄話をすることはめったになかった。
しかし、黒田真一が小さなロリータに出会った後、二人は饒舌に話し、関係はとても良好だった。
時々、小さなロリータの銀の鈴のような可愛らしい笑い声と、黒田真一の磁性的で内向的なチェロのような音色の声が聞こえてきた。
西村絵里はむしろ余計者のように感じた。
……
黒田真一が選んだのは仙台市の高級皇室西洋レストランだった。
ここに来る人々は、富豪か貴族だった。西村絵里は以前よくここに来ていた。
なぜなら、ここは家族での食事に非常に適していたから……
ヨーロピアンスタイルの装飾で、とても温かみのある雰囲気だった。
ここに来る人はそれほど多くなく、西村絵里はほっと一息ついた。黒田真一と甘奈と一緒に外出するとき、いつも人に会うことを心配していた。
そうなると、説明がつかなくなる。
……
黒田真一は明らかにここの常連客で、黒田真一が甘奈を抱いて入ってきたとき、ウェイターはすぐに丁重に迎えに来た。
「こちらの紳士様、以前と同じ個室でよろしいでしょうか?」
「ああ」
「かしこまりました、こちらへどうぞ」
「ああ」
黒田真一は淡々と返事をし、甘奈を抱いて個室へ向かった。
甘奈は黒田真一の側にいて、西村絵里はただ後ろをついていくしかなかった。
黒田真一は西村絵里がついてこないことを全く心配していなかった。
……