第391章 黒田真一は私の夫1更(9)

元々は黒田真一と香坂悠生の前で西村絵里を中傷するつもりだったが、まさか西村絵里という没落した令嬢が、もう二度と這い上がれないと思っていたのに。

今や...見事に逆転して、黒田奥さんになってしまった。

西村絵里は唇の端を少し上げ、嘲笑を浮かべた。

「そうですか?井上さんは過去の話を蒸し返すのがお好きなようですから、私たちも過去の話をしましょうか...」

「何?」

「井上莉菜さん、もし私の記憶が正しければ...あなたの高校一年生の学費は私が出したはずですよね。」

そう言いながら、西村絵里は確信を持って続けた。「あの時...誰かが故意に私の父の車の前に倒れて、当たり屋をして、お金をだまし取ろうとして...自分は可哀想で学校に行けないと言って...父に学費を恵んでくれと頼んだのは。」

井上莉菜:「...」

「嘘よ、あれは...あれは事故だったわ。」

「そうですか?申し訳ありませんが、刑事隊には監視カメラの映像がありますよ。実は父はあなたが故意に詐欺をしたことをずっと知っていました。でも咎めるどころか、お金を出したのは主に...あなたがまだ子供だから、学校に行けないのを見たくなかったから...それであなたを良い高校に行かせたんです。」

井上莉菜:「...」

西村絵里も最初は事故だと思っていたが、後に偶然西村安国の話を聞いて、真相を理解した。

つまり、本質的に西村家は井上莉菜に恩があったのだ。

まさか、この井上莉菜が後に恩を仇で返すとは。

香坂悠生は目の前の井上莉菜を信じられない様子で見つめた。この女は胸ばかり大きくて頭が悪いとは思っていたが、まさかこんな人間だったとは。

当たり屋か...

さすが以前は私生児として生まれ、貧しい生活を長く送ってきただけのことはある。

たとえ後に枝に飛び乗って鳳凰になったとしても、あの土臭さは消えないものだ。

黒田真一は目を細めた。うん、彼が心配しているのは西村絵里がこんなに多く話して喉が渇いていないかということだ。

甘奈は黒田真一の腕の中で大きな目を見開いて、ママがとてもかっこよくて素晴らしいと思った。すごい、大好き。

...

西村絵里は井上莉菜が怯えて黙り込んでいるのを見て、唇を少し引き締めた。