第425章 西村絵里の給料カードをあなたに1更(3)

……

会議室の人々が散り散りになった後、村上秘書は恭しく前に進み出た。

「黒田社長、そろそろ空港に向かう時間です……」

「うん……」

「村上秘書、携帯電話を貸してくれ」

「何ですか?」

黒田真一が自分の携帯電話を取ろうとしたので、村上秘書は少し恥ずかしそうに口を開いた。

「わかりました……」

村上秘書は携帯電話を黒田真一に渡した。画面には自分の妻とのメッセージが表示されていた。

「旦那様、愛してるわ。出張はさぞかし大変でしょうね、心配よ。体に気をつけてね……あなたのこと考えてる、考えてる、考えてるわ……旦那様、チュッ」

黒田真一:「……」

黒田真一は開いたらメッセージだとは思わなかった。不自然に咳払いをすると、村上秘書はさらに顔を赤らめた。

エマ……

まさにこれが怖かったのに、結局黒田社長に見られてしまった。

「あの……へへ、長年連れ添ってますが、まだラブラブなんです。毎日初恋のような感じで、黒田社長、実を言うと……妻からこういうメッセージが来るたびに、私の心臓はまだドキドキしてしまうんですよ」

黒田真一:「……」

遠回しに愛情自慢か?

黒田真一は黒い瞳を暗くし、何気ない様子を装って尋ねた。

「彼女から自発的に送ってくるのか?」

「もちろんですよ……うちの妻はね、私にとても甘えてくるんです……1分離れるだけでも寂しがって……いつも私に言うんですよ、彼女の心臓が恋しがってるって……ご存知の通り、男というものは自分の女性が甘えてくるのが好きなものです。彼女がこうすると……本当に出張に行きたくなくなるんですよ……このくだらない規則は……本当に人間味がないですね」

村上秘書は話すほどに熱が入っていった。

自分が言い過ぎたことに気づき……反射的に大きな手で自分の唇を覆った。

「へへ……黒田社長……私を……ごほんごほん……戯言を言っていると思ってください。私は出張が大好きです、はい、そうなんです、天地神明に誓って」

黒田真一:「……」

黒田真一は眉を上げて隣の村上秘書を見た。否定できないことに、村上秘書の言葉は自分の心に響いていた。

男というものは自分の女性が甘えてくるのを見るのが好きなものだ。

黒田真一は黒い瞳を細めた……

皮肉なことに、自分が西村绘里にメッセージを送っても、彼女は返信しない。