第458章 薬1更(2)

「だって……聞いても、意味がないわ。あなたが私を愛してようと愛してなかろうと……この人生で、あなたは私の避けられない試練なの……」

「それに、あなたは考えが深いから、西村绘里にはあなたの心の内を推し量る力があるとは限らないわ。その点については、私は自分をわきまえているつもり。結局、人は自分を知ることが大切だから」

そう言って、西村绘里の口元に苦い笑みが浮かんだが、その笑みは目には届かなかった。

黒田真一は女性のそのきっぱりとした、流れるような姿を見つめていた。

正直なところ。

西村绘里は男性よりも潔い性格を持っていた。

しかし、そんな性格が、自分にとっては、耳に入ると皮肉のように聞こえてしまう。

黒田真一は自分の腕の中にいる女性の顔をじっと見つめ、ゆっくりと口角を上げた。