第465章 旦那様、口を開けて2更(5)

男の大きな手のひらは温かかったが、西村絵里はその暖かさを感じることができなかった。

彼女はすでに黒田真一の今この瞬間の強大な威圧感に押しつぶされそうになっていた。

西村絵里は感謝の眼差しを横にいる村上秘書に向け、黒田真一に手を引かれるままにした。

自分と黒田真一は、この件に関しては意見が一致していた。

それは...甘奈を悲しませたくないということだ。

……

案の定、甘奈は黒田真一が西村絵里の手を引いているのを見て、満足げに口角を上げ、にっこりと笑った。とても可愛らしかった。

「パパ最高!かっこいい!ちゅっとしちゃおう」

そう言うと、甘奈は小さな口を黒田真一の頬に近づけ、思いっきりキスをした。

黒田真一は小さな女の子の仕草に口角を上げ、それまで身にまとっていた冷たい雰囲気が和らぎ、柔らかさに包まれた。