第564章 甘奈は病院が怖い1更求訂(3)

子供の世界では、ずっと黒田真一はごく普通の人だと思っていた……最も単純な会社員に過ぎない。

西村絵里は思わず笑ってしまった。小さな女の子が意地悪なボスの話をするのを聞いて、満足げに口角を上げた。

「うーん……確かにそうね。実は、甘奈ちゃん……ママがずっと言ってなかったことがあるの……ため息……あなたのパパは、あの意地悪なボスなの……だから、ママが前にぐちを言ったり、文句を言ったりしていたのは、全部このせいなの……はぁ……」

甘奈はその場に呆然と立ち尽くし、大きな瞳を潤ませながら西村絵里をじっと見つめていた。しばらくして、やっと沈んだ声で口を開いた。

「あぁ……」

西村絵里は満足げに口角を上げた……

完璧、きっと黒田真一の彼女の心の中のイメージを台無しにしたに違いない。