今、香坂悠生は救急室に運ばれたところで、この細部にこだわっている時間はもうない。
そう思うと、西村绘里は深呼吸をして、しっかりと頷いた。
「わかった……病院に着いたら、甘奈が怖くなったら、ママの胸に隠れるのよ、わかった?」
「うん……」
黒田真一は眉を寄せた……
甘奈の性格は実はずっと少し男の子っぽかった。
まさか、病院に行くのをこんなに怖がるとは思わなかった。
もしかして……小さい頃、よく病気をしていたのだろうか?
そう考えると、黒田真一の細長い瞳が少し細められ、思索の色が過った。
自分は……甘奈に詳細な健康診断をさせる必要がある。
結局……虫歯もきちんと治療しなければならない。
女の子はみんなお菓子が大好きだ……
自分、黒田真一の娘も当然お菓子を食べるべきだ。
それも、好きなように食べればいい。