第574章 山口琴子登場2更(6)

しかし、お札は山のように西村絵里の体に降り注ぎ続けた……

西村絵里は四肢が打たれて頭がくらくらし、それだけでなく、呼吸も異常に困難になっていると感じた。

しばらくして、ようやく山口琴子の怒り狂った言葉が聞こえてきた。

「西村絵里、図々しいことはやめなさい……この先……あなたはもう二度とこんなにたくさんのお金を手にすることはないでしょうね……ふふ、今、私があなたを打つのは、あなたに面子を与えているのよ、わかる？」

西村絵里：「……」

相手にお金を渡そうとしたのに、拒否されて……

相手ははっきりと、お金はいらない、彼女の息子もいらないと言った。

それなのに、この女は恥ずかしさのあまり怒り出した。

今や無理やり人を引き留めて、お金で打ちのめす……

こんなに極限まで残酷な女がいるなんて。

西村絵里は自分が香坂悠生を好きになったのは目が見えていなかったのだと思った。

西村絵里は全身がひどく惨めで、髪は乱れ、頬にはまだ血の跡が残っていた。とても柔らかく美しかったが、顔色を失うことはなく、むしろ高雅で、危機に動じない様子だった。

「そう？私はあなたを年上として敬っていました……でも今わかりました……その敬意を取り消します……あなたはそれに値しないから……あなたの目にはお金しか映っていないのなら……あなたのお金と、あなたの息子と一緒に過ごせばいいでしょう、香坂悠生……私、西村絵里はもういりません……今も、そしてこれからも二度と欲しくありません。」

言い終えると、西村絵里の口元に明るい笑みが浮かんだ。

柔らかさと悲壮さが加わった。

自分から彼の息子を拒否したのだ。

西村絵里は山口琴子が唖然とする中、先ほど自分に投げつけられたお札を踏みつけ、そして……振り返ることなくよろめきながらドアへと向かった。

山口琴子：「……」

くそ、この小娘が。

本来なら非常に簡単なことだったはずなのに……

まさかこんなに頑固な奴に出くわすとは。

山口琴子は激怒した。

下賤な骨。

……

回想は突然終わった。

西村絵里が我に返ったとき、足は無意識のうちに山口琴子の前まで歩いていた。

自分の小さな手はまだ黒田真一の手の中に握られていた……

西村絵里は目を暗くした……

以前は、この優雅で華やかな女性が香坂悠生の母親だということしか知らなかった。