第600章 黒田真一は藤原三郎の義兄弟2更(5)

言い終わると、西村絵里はポケットから携帯電話を取り出し、そこで気づいた……自分の全身が血まみれになっていることに。

特に右手は、黒田真一の出血を止めようとしたものの、まったく効果がなかった。

西村絵里は美しい瞳を少し顰め、気にする様子もなく、震える小さな手で画面に触れ、藤原海翔の電話番号を探して掛けようとしたが、自分の指が震えていることに気づいた。

西村絵里:「……」

さっきは本当に黒田真一にひどく驚かされたのだ。

西村絵里は今、黒田真一が救急室に横たわっていることを考えると、全身が緊張で震えた……

西村絵里は瞳を暗くし、自分に冷静に……落ち着くようにと言い聞かせた。

自分に心理的な暗示をかけ続けていたにもかかわらず、西村絵里は普段の10倍以上の時間をかけて、やっと藤原海翔に電話をかけることができた。

電話は常に3回のコール以内に出られ、藤原海翔の不真面目な声が耳元に響いた。

「絵里ちゃん……当たってるでしょ、残業で甘奈ちゃんを迎えに行けないから、俺に頼むんだよね?あぁ……俺はまるでお前の腹の中の虫だな、お前の考えていることが手に取るようにわかるよ。」

西村絵里:「……」

西村絵里は藤原海翔の声を聞いた瞬間、目が赤くなり、心に押し込めていた感情が崩れ落ちた。

「藤原三郎、私は病院にいるの。黒田真一が私をかばって刃を受けて、今、救急室に横たわっているの。」

私は……彼が死ぬかどうか、わからない。

藤原海翔は西村絵里が何でも打ち明ける唯一の友人だった……

だから、藤原海翔との電話がつながった後、西村絵里の心の防御線はすべて崩れ去った。

西村絵里の声は激しく詰まり、電話の向こうの藤原海翔の表情が変わった。

「絵里ちゃん、落ち着いて、一体何が起きたんだ?」

「井上莉菜は誰かに保釈されて警察署から出てきたみたい。彼女は宅配員を装って、甘宝幼稚園から私に何か送られてきたと言って……それから……最初は黒田真一に制圧されたんだけど、私たちが立ち去ろうとした時、彼女が突然警備員の手から逃れて、私を……刺そうとしたの……黒田真一が私をかばってくれたの。その刃は背中から刺されたけど……心臓の位置を狙ったものだった。」

西村絵里は赤い目で、すすり泣きながら、言葉を断続的に話した。

自分が何を言っているのかも……わからなかった……