黒田真一は満足げに口角を上げ、その後抱きしめていた女性と共に深い眠りに落ちた。
……
西村絵里が次の日目を覚ましたとき、隣で誰かが動く気配を感じた……
「旦那様……これは本当にいけません。」
「黙れ、喋るな。」
「旦那様……あなたの傷が……私たちは……」
「くそっ、言っただろう、声を出すなと?わかっているのか、お前は私の妻の眠りを妨げているんだぞ?」
「それは……」
朦朧とした美しい瞳を開けると、自分が黒田真一の胸に顔を埋めていることに気づいた。男性の左手は点滴を受けており、右手で彼女を抱きしめていた。
西村絵里は元々、黒田真一と比較的安全な距離を保って眠ったはずだった……
思いがけず、目を覚ますと男性の腕を枕にして眠っていたことに気づき、すぐに目が覚めた。
しまった。
黒田真一はまだ患者なのに。
西村絵里が体を起こすと、黒田真一の胸元が濡れているのが目に入り、すぐに顔が赤くなった……
しまった、自分は寝ている間にまた思わず涎を垂らしてしまったのだ。
黒田真一の側に焦って立っていた看護師は、西村絵里がぼんやりと目を覚ますのを見て、思わず口を開いた。
「奥様、やっと起きましたね。旦那様の傷が開いてしまったのですが、ずっとあなたを起こさないようにと言われていました。早く起きてください、患者さんの詳しい検査と包帯の処置をしなければなりません。」
西村絵里:「……」
西村絵里は看護師の言葉を聞いて、初めて気づいた……病室には……いつの間にか医師と看護師が一列に並んで立っており、表情は深刻だった。
西村絵里の視線が黒田真一の開き始めた傷口、特に外側に広がる血の赤さに触れると、顔色が変わった。
「黒田真一……大丈夫?」
黒田真一はさっき余計なことを言った看護師をちらりと見て、西村絵里の美しい瞳の中にある動揺を見ると、軽く受け流すように答えた。
「大丈夫だよ、本当に甘奈ちゃんと同じ小さな癖だね……西村絵里、君は本当に完璧に甘奈に遺伝させたんだね。」
そう言うと、大きな手を上げて女性の桜色の唇に触れ、甘やかすように拭った。
男性の優しい指先が自分の唇の端に触れ、かすかに撫でるのを感じ、西村絵里の頬はすぐに赤くなった。
しまった、男性の体に涎を垂らしただけでなく、今は口元にも涎が……
西村絵里は本当に人に会わせる顔がなかった。