工商局:
解決策がないことを知り、村上念美はもうこれ以上時間を無駄にしたくなかった。
「私はまだ用事があるので、先に失礼します……景山様、これでチャラにしましょう。今後は、あなたからのエッセンシャルオイル原料の恩義は受けません。結局、このロットのオイルは村上氏に大きな問題を引き起こしましたから」
言い終わると、村上念美は直接出口へ向かって歩き出し、景山瑞樹一人を工商局のロビーで激怒させたまま残した。
今回は、村上念美の前で本当に大恥をかいたと言えるだろう。
……
村上念美は急いで車を走らせ南町別荘に戻ると、美しい瞳に思案の色が浮かんだ。
景山瑞樹でさえ対処できない問題なら、藤原景裕に頼むしかないようだ。
実は朝からお願いするつもりだったが、木村陽太からの電話で中断されてしまった。