会場:
村上念美は景山瑞樹が木村陽太に対して友好的でないのを見て、口元を少し引きつらせた。
「木村社長...お会いしたいと思っていました。以前シアトルでは大いに活躍されていましたね。」
「過分なお言葉です。」
二人の男性は言葉を交わし、水面下で緊張感が漂う中、強く握手を交わし、すべては言葉にせずとも伝わっていた。
「そういえば、木村社長は今日どの土地に目をつけているんですか?気に入ったものがあれば教えてください。私なら、ひょっとしたら、譲ってあげるかもしれませんよ。」
「結構です。君子は人の好むものを奪わない。景山様がここに来られたのは、何かしらの土地に目をつけて、競り落とす準備があるからでしょう。ですから、それぞれの実力で勝負しましょう。和を乱さないためにも。」
景山瑞樹は木村陽太の言葉を聞くと、口角を上げ、悪戯っぽく不良のような笑みを浮かべたが、視線は村上念美に向けられていた。