089 真の夫婦【購読をお願いします】_3

藤原景裕は淡々と口を開いた。そんな穏やかで磁性のある言葉に、村上念美の耳元まで熱くなり、心臓はドキドキと止まらなかった。

村上念美は頷いて、茶碗の中のご飯を少しずつ食べながら、突然お金持ちの女性になったような既視感を覚えた。

考えるだけで...とても幸せだった...

藤原景裕は女性が満足そうに食べているのを見て、村上念美の茶碗にさらにおかずを取り分けた。

「もっと食べて、量を調整できなくて、少し多く作りすぎたみたいだ」

村上念美:「...」

多く作りすぎたから、自分に食べさせるの?

そんなのあり?

とはいえ、村上念美はとても満足して食べた。本当にお腹が空いていたのだ。

...

夕食を終えると、時間はすでに11時を過ぎていた。

村上念美は自ら立ち上がり、静かに言った:「私が片付けます」

「いや、僕がやるよ」

「うーん」

村上念美が小さな手を伸ばして茶碗を受け取ろうとしたとき、藤原景裕に手を握られた。

男性の手のひらは熱く、まるで自分の心の底まで温めるようだった。村上念美は素直に小さな手を引っ込め、男性に片付けさせた。

村上念美は口角を上げ、二人の関係が3年前に戻ったかのようだった。

3年前、自分はよくソファでお菓子を食べながら映画を見て、ゴミを散らかしていたが、藤原景裕は少しも嫌がらずに片付けてくれていた。

そのことを思い出し、村上念美はキッチンのドア口に立ち、水槽の前で忙しく動く男性の立派な背中を見つめた。

先ほどオークションで10億円もの高額で土地を購入した男性が、今この瞬間、自分のために料理を作り、皿を洗っているなんて想像もつかない。

信じられないわ...

家庭的な男性に魅力がないなんて誰が言ったの。

藤原景裕はとても魅力的だった。

...

藤原景裕が振り返ると、村上念美が自分をぼんやりと見つめているのが見えた。彼は薄い唇を引き締めた。

「フルーツを洗ったばかりだ、テーブルの上にある」

「はい」

村上念美は頷いてソファに向かうと、テーブルの上に洗いたてのブドウが置かれているのを見た。

村上念美は少しずつブドウを食べていると、しばらくして藤原景裕がキッチンから出てくるのが見えた。

二人の温かい時間は、このクリスマスイブにとりわけ大切に感じられた。

「行こう、もう一つ場所に連れて行きたい」

「うん」