092 一度目があれば、二度目もある_4

藤原景裕は手慣れた様子で注文し、実際には全て村上念美の好物だった。

村上念美は男性が何を好むのか考えていたが、思い浮かばなかった。

彼のことをよく知らないのだ。

実際、村上念美は考えていた。3年前、自分は偽りの恋愛をしていたのではないか。そうでなければ、どうして彼氏の好みすら知らないのだろうか。

この恋愛では、いつも藤原景裕ばかりが与える側だった。

料理が次々と運ばれ、ウェイターは村上念美と藤原景裕にワインを注いだ。キャンドルライトディナーは非常にロマンチックだった。

「シアトルでは、普段クリスマスをどう過ごしていたの?」

藤原景裕の低い声が耳元で響き、村上念美は小さな声で答えた。「最初の年は、木村陽太兄さんと一緒に過ごしました...」

正確に言えば、最初の年、村上念美は木村陽太と病院で過ごしたのだった...

当時、同じ寮の女子がいたずらで、シャワーを浴びている時に突然電源を切られ、冷水を浴びることになった。それにクリスマスで感傷的になり気分が落ち込んでいたこともあり、高熱で病院で3日間意識不明だった。

女性の口から「木村陽太」という言葉が出ると、藤原景裕の表情が微かに変わり、瞳に冷たさが宿った。

「2年目は、小さなアパートで一人でカップラーメンを食べました。でも中にソーセージを入れたら、結構美味しかったと思います。」

食べながら、泣いていた...

結局、口に入れた麺はすべて苦く感じた。

「3年目は、一人で街を歩き回って、少し祝日の雰囲気を感じました。」

言い終えると、村上念美は口元を緩め、藤原景裕の前で嘘をつきたくなかった。

実際...3年目は、散歩を終えてアパートに戻ろうとした時、自分の精神状態があまり良くないと感じた。

だからクリスマス当日の終わりに、心理療法を受けに行った。

藤原景裕:「...」

藤原景裕の瞳が微かに動いた。彼女は良い生活を送っていなかったが、それでも自分を頼ろうとはしなかった。

毎年のクリスマス、自分はずっと彼女を待っていた。

...

雰囲気が少し沈んだ。村上念美は目の前のワイングラスを持ち上げ、大きく一口飲んだ後、口元に微笑みを浮かべた。

「あなたは?」

村上念美は試すように尋ねた。

「一人だよ。」

少し間を置いて、藤原景裕は付け加えた。「3年間ずっと同じだ。」