藤原景裕は手慣れた様子で注文し、実際には全て村上念美の好物だった。
村上念美は男性が何を好むのか考えていたが、思い浮かばなかった。
彼のことをよく知らないのだ。
実際、村上念美は考えていた。3年前、自分は偽りの恋愛をしていたのではないか。そうでなければ、どうして彼氏の好みすら知らないのだろうか。
この恋愛では、いつも藤原景裕ばかりが与える側だった。
料理が次々と運ばれ、ウェイターは村上念美と藤原景裕にワインを注いだ。キャンドルライトディナーは非常にロマンチックだった。
「シアトルでは、普段クリスマスをどう過ごしていたの?」
藤原景裕の低い声が耳元で響き、村上念美は小さな声で答えた。「最初の年は、木村陽太兄さんと一緒に過ごしました...」
正確に言えば、最初の年、村上念美は木村陽太と病院で過ごしたのだった...