106 彼女の結婚保障【精、暖、クライマックス】_2

「その言葉は違うよ、この藤原家は、権力者なんだ...」

村上翔偉は思わず口を開き、その後唇を引き締めて言った。「念美、景裕と一緒になれたのは縁だよ...運命だよ」

村上念美はその言葉を聞いて口元を緩めた。

「うん...」

木下麻琳は村上念美の小さな顔が俯いている様子を見て、唇を噛んだ後、やはり我慢できずに言った。「実はね、私は娘が金持ちの家に嫁ぐなんて望んでいないのよ。私はね、木村家が良いと思っていたの...ただ木村陽太と念美には縁がなかったみたい...権力者に嫁ぐより、むしろ学者の家系に嫁いだ方が、安定した生活が送れると思うの」

村上翔偉は木下麻琳の言葉を聞き、手を伸ばして彼女の肩を叩いた。

そうだね...この藤原家は権力者だ...

でもね、自分の大切な娘は、本当は同じ立場の木村家に嫁いでほしかった...豪邸には嫁がせたくなかった。

ただ、思い通りにはいかなかった...

村上翔偉が自分の肩を叩く中で、すべては言葉にせずとも伝わり、木下麻琳も村上翔偉と自分の考えが同じだということを理解していた。

...

村上念美は村上翔偉と木下麻琳の様子を見て感慨深げに、唇を噛んだ。

両親が一番大切にしているのは自分の幸せなんだと分かった。

うん...実際...自分も権力者に嫁ぐなんて考えていなかった。

最初から藤原景裕という人に惹かれただけ。

もし藤原家が権力者でなかったら、自分と藤原景裕の関係はもっと単純だったのかな?

...

藤原家の人々が直接出迎えに出て、藤原景裕の長身が会場内に現れると、名家の令嬢たちの悲鳴が四方から上がった。

この上品さは、直視できないほどだった。

特に男の整った顔の冷淡さは水のようで、強大なオーラは人を震え上がらせ、男の精巧な白いスーツの下には、厳粛さが漂っていた。

藤原景裕は視線の隅で隅に座っている村上念美を見つけ、薄い唇がかすかに上がり、気づかれないほどのわずかな優しさを含んでいた。

うん、今日白いスーツを選んだのも、村上念美のハスの花色のドレスに合わせるためだった。

...

「おじいさん、おばあさん...久しぶりです、最近お体の具合はいかがですか?」

藤原景裕は謙虚に熊谷徹朗と渡辺愛美に挨拶した。