112 幼稚な男【題外話にイベントあり】_5

木下麻琳の感情は明らかに複雑で、何度も木下院長から孤児院のことを聞くたびに、涙を抑えることができなかった。

村上翔偉はそばで彼女を慰めていた...

渡辺愛美も目に涙を浮かべていたので、熊谷徹朗はすぐに口を開いた。「こんな年になって、子供の前で泣き喚くなよ。」

「うん...」

...

藤原景裕は黒い瞳を細めた。どうやら...今日の祖父母の感情はとても異様に感じられた。

何か...違っていた。

まるで、彼らは木下麻琳よりも感情的になっているようだった。

...

孤児院を出る頃には、もう遅い時間になっていた。

村上念美は率先して藤原景裕と子供たちに別れを告げた...

帰り道、村上念美は木下麻琳と渡辺愛美の気分が優れないのを見て、自ら雑談を始め、話題を選び、面白い話をした。

熊谷徹朗はそれを見て口角を上げた。この村上念美は確かに愛らしい娘だ。

本当に可愛い。

彼女がいるおかげで、木下麻琳と渡辺愛美の気分はずっと良くなった。

...

藤原景裕は運転手に村上翔偉と木下麻琳を先に村上家に送らせてから、藤原家に戻った。

藤原家に着くと、車が門の前に停まったとたん、熊谷紗奈が不機嫌な顔で別荘から出てきた。

藤原景裕、村上念美、熊谷徹朗、渡辺愛美の四人の姿を見て、かなり腹を立てていた。

「お父さん、お母さん、どこに行ってたの？」

「ちょっとあちこち回ってただけだ。」

熊谷徹朗は淡々と言い、熊谷紗奈の高慢な態度を見て、怒鳴らずにはいられなかった。「どうした、私たちがどこに行くのにもお前が口を出すのか？」

「私は...」

熊谷徹朗は渡辺愛美を支えながら別荘に入り、玄関に並んだブランド服やバッグの包装袋を見て、顔色を変えた。

「また無駄遣いしたのか？見てみろ、買ったものをろくに使いもしない...買うなとは言わないが、もう少し分別のある生活ができないのか？」

「私は...」

熊谷紗奈は言葉に詰まり、何か言おうとしたが、熊谷徹朗の険しい表情を見て、口を開いたものの何も言わなかった。

渡辺愛美はその様子を見て少し頭が痛くなった。今日は孤児院から帰ったばかりで、気分はあまり良くなかった。

「もういいわ、あまり言わないで。もうすぐ新年だし、家族全員でぐちぐち言い合うのはやめましょう。」

「ああ。」